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紫の上がよかった
2009年01月31日 土曜日
『源氏物語』の漫画化作品『あさきゆめみし』(大和和紀)にはたくさんの女性が登場するが、中でもよかったのは紫の上だった。
光源氏の愛をいわば争う関係である明石の上と、尊敬し合い理解し合いいたわり合う関係を築けたところとか。
光源氏が自分の女性遍歴を語って聞かせられる唯一の女性になれたところとか。
死期が迫っての「‥‥ああ‥! この世はなんと美しいのだろう‥‥!」の境地など、人生の理想とさえ思う。
紫の上に対する光源氏の扱いなど、ずいぶんひどいことをするものだ、と憤りを覚えもする。
だが紫の上が到達した、あの他者を愛し理解し世界そのものに感動する境地は、光源氏が紫の上に与えた愛と苦しみの両方があってこそのものだった。
他人に苦しみを与えることは、他人を愛することの欠かすべからざる一部だ。
すなわち、罪を犯すことを拒んで、人に愛だけを与えることできない。
源氏物語が千年以上にわたって愛読されてきたの大きな理由の一つは、この真理を描ききっているところにあるのではないだろうか。
最期まで出家を願いながら光源氏の懇願ゆえに出家を果たせず、それでいて、安易に出家していったどの登場人物よりも高い精神的境地に到達した紫の上の姿は、この点で何よりも示唆的だと思う。
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