バカはどっちだ?
2009年02月18日 水曜日
15年くらい前に、あるベンチャー企業に勤める若い女性から聞いた話。
自宅事務所から起業して毎年のようにオフィスを拡大し、10年で小さいながらも自社ビルを建ててしまったその会社の創業社長、なんでも自分の思い通りにしないと気が済まない典型的なワンマン社長で、自社ビルの設計図まで、自分で書いてしまった。
「徹底的に無駄を省く」という社長の思想の具体化となったそのビルは、トイレひとつとって見ても、普通なら1人分の個室しか設置できないような空間に、無理矢理2人分の個室を詰め込んである。
ある日の会議でその社長、「みんなあまりにも頭を使ってない!!」と社員を叱り飛ばした。
社長が例に挙げたのは、社員たちが真っ昼間から電気をつけてトイレに入っていること。
窓から日が差していようがいまいが電気をつけるのは、何も考えずに行動している証拠だ、と。
ご想像の通り、社員たち、特に女性社員たちが昼間でもトイレに入るとき電気のスイッチをオンにしていたのは、「今使っているから入ってこないでね」という合図だった。
狭い空間に無理矢理2人分の個室が詰め込まれたトイレで、隣り合って用を足すのは恥ずかしい。
しかしそのことを公に発言するのはもっと恥ずかしい。
2人分設置されているものを1人ずつしか使わないというのも、建物に体現された社長の思想を否定しているように感じられる。
それで社員たちが取った行動が、昼間でもトイレに入るときは電気のスイッチをオンにする、という行動だった。
その恥ずかしさや遠慮が、社長には想像できない。
社員にとってはいろいろ頭を使った末の行動が、社長にとってはまったく頭を使っていない証拠に見える。
この話を聞いて、佐々木は思った。
相手がバカに思えたときほど、バカは自分ではないかと疑わなければならない。
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