『ガープの世界』を読み返した
2009年07月07日 火曜日
ジョン・アーヴィングの小説『ガープの世界』(新潮文庫上、下、筒井正明訳)を再読した。
不寛容かつ過激な女権運動家集団への怒りをあらわにする主人公ガープに、妻ヘレンが言った次のセリフを読み返したくなったから。
"Tolerance of the intolerant is a difficult task that the times asks of us"
《「不寛容なものに対する寛容さは、時代がわたしたちに要求している困難な課題じゃないかしら」》
(下巻「18 ひきがえるの習性」)
このセリフを読み返したくなったのは、アドルフ・ヒトラーの『わが闘争』を読んで、彼の過激な反ユダヤ思想に触れたから。
〈過激な国家社会主義におけるユダヤ人の位置づけ〉が〈現実の国民国家とユダヤ人の関係〉から逸脱している様子は、〈過激な女権主義における男性の位置づけ〉が〈現実の女性と男性の関係〉から逸脱している様子になんとなく似ていると、佐々木は以前から思っていた。
『ガープの世界』という小説自体は、〈ユダヤ人(もしくはユダヤ的とされる思想・行動)に対する不寛容〉などといったテーマと重ね合わせて読まれるべき作品ではない。個人の人生や日々の生活に引き寄せてのみ、読まれるべき作品だ。
ただ「不寛容なものに対する寛容さ」という言葉には、何か個人レベルの生活信条を超えた大切さがあるような気がしたのだ。
と同時に、「寛容なものに対する不寛容さ」もまた、「時代がわたしたちに要求している困難な課題」なのではないかという気も。
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