『悲しき熱帯』を読んだ
2009年07月28日 火曜日
今年の古典読破計画の第七弾として、クロード・レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』(Ⅰ、Ⅱ、川田順造訳)を読んだ。
高齢の武術の達人に血気盛んな若者が挑みかかり、いいようにあしらわれて目を白黒させる、みたいな話型があるが、あたかもあの若者になったような気分。
あるいは、あまりにもピース数が膨大で、全体像が何なのかも、そもそも一つの全体像を成しているのかも不明なジグソーパズルに取り組まされたような感覚。
『悲しき熱帯』は、レヴィ=ストロースが1938年、30歳のときに調査隊4人で約6か月かけて行った、ブラジル先住民社会の調査旅行について書かれた本だ。
執筆されたのは、1954年、レヴィ=ストロースが46歳のとき。
旅行記でもあり、民俗学的調査報告でもあり、社会構造分析でもあり、西洋文明批判でもあり、哲学的エッセイでもあり、自伝でもあり、しかもそれらの間を唐突に行ったり来たりするので、個々の叙述が全体の中でどのように位置づけられているのかが、見えない。
その見えないことが、決して筆者の側の筆力のなさとしてではなく、あくまでも読者の側の読解力や教養のなさとして感じられるように書かれている、老獪さ。
なんかめちゃくちゃ悔しい。
2011 SASAKI Ichiro. No Right Reserved.

